目次＞５章 第２ステップ（色々な実験）＞ （２２）ＤＣモータの制御（正転／逆転，スピード制御）
ＤＣモータの制御
− 正転／逆転，スピード制御 −
更新日２００８．１１．９
前のページでＤＣモータを一定方向に回転させ、停止・スピード制御ができました。
今回は、正転・逆転の実験を行います。
| 正転・逆転の考え方
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ＤＣモータは流す電流の方向で回転方向も変わります。
- 例えば、下の回路はスイッチでモータを正転・逆転する回路です。
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| 図のようにスイッチが下になっていると、モータの右側が＋になります。
スイッチを上にすると、モータの右側は−に変わりますので逆転します。
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この回路のスイッチをＦＥＴに置き換えたものが下の回路です。
（イメージ図です。）
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【補足】
この回路でも動作しますが、一般的にＦＥＴはドレインに負荷を接続しますので、上の２つをＰチャネルＭＯＳ−ＦＥＴにしてゲートの制御も下２つとは分けます。
トランジスタを使う場合は、上２つはＰＮＰ型で下２つはＮＰＮ型を使います。
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見た目、分かりづらいですが、ゲート回路をはずすと以下のようになっています。
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| 左上と右下のＦＥＴをペアにしてＯＮ／ＯＦＦができるようになっています。
同様に右上と左下のＦＥＴももう一つのペアになります。
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では、スイッチの状態でモータにどのように電流が流れるか見てみましょう。
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図のようにスイッチが上になっていると、左上と右下のＦＥＴがＯＮになり、赤の矢印のように電流が流れます。
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次にスイッチを下にすると、右上と左下のＦＥＴがＯＮになり、赤の矢印のように電流が流れます。
モータに流れる電流は上とは逆になっていますので逆回転します。
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この回路はフルブリッジやＨブリッジと呼ばれています。
スイッチの部分をＰＩＣに置き換える事でモータの正転・逆転制御ができますが、実用のためにはもう少し工夫が必要です。
今回は、フルブリッジを内蔵したＤＣモータ制御専用のＩＣを使います。
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| ＤＣモータ用フルブリッジドライバ
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今回使用したＤＣモータドライバは、東芝のＴＡ７２９１Ｐと言うＩＣです。（下の写真）
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- 仕様
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| Vcc | 4.5〜20V | 制御回路電源電圧
| | Vs | 0〜20V | モータ側電源電圧
| | Vref | 0〜20V | モータ基準電圧（Vs以下にする）
| | 出力電流 | 1A | モータ駆動最大電流
| | 出力ピーク電流 | 2A | モータ駆動最大電流（ピーク）
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- ピンの使い方
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ピンは、放熱板の切り欠きがある側が１番ピンです。
| ピン番号 | 端子記号 | 意 味
| | 1 | GND | GND
| | 2 | OUT1 | モータ接続
| | 3 | - |
| | 4 | Vref | モータ電圧調整（基準電圧）
| | 5 | IN1 | 制御信号
| | 6 | IN2 | 制御信号
| | 7 | Vcc | 制御回路電源電圧
| | 8 | Vs | モータ側電源電圧
| | 9 | - |
| | 10 | OUT2 | モータ接続
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- 制御信号(IN1,IN2)とモータ(OUT1,OUT2)の関係
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| 入 力 | 出 力 | モータ動作
| | IN1 | IN2 | OUT1 | OUT2
| | 0 | 0 | ∞ | ∞ | ストップ
| | 1 | 0 | H | L | 正転
| | 0 | 1 | L | H | 逆転
| | 1 | 1 | L | L | ブレーキ
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| 実験回路
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今回の実験回路です。
前回との違いは、RB2,3にTA7291Pを接続している点です。
左の積分回路，スイッチ，右の表示回路は前回と同じです。
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こちらはブレッドボードに組んだ状態。
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| 正転・逆転の動作確認
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それでは早速、実験に取り掛かりましょう。
- この表は先ほどの表と同じですが、入力をIN1,IN2の代わりにRB2,RB3にしています。
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| 入 力 | 出 力 | モータ動作
| RB2
（IN1） | RB3
（IN2） | OUT1 | OUT2
| | 0 | 0 | ∞ | ∞ | ストップ
| | 1 | 0 | H | L | 正転
| | 0 | 1 | L | H | 逆転
| | 1 | 1 | L | L | ブレーキ
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水色の２パターンをスイッチ操作で選択し、モータの回転方向を反転して見ます。
下のプログラムがその例です。
電源を入れると正転し、スイッチを押すと逆転，離すと正転します。
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LIST P=PIC16F84A
INCLUDE P16F84A.INC
__CONFIG _HS_OSC & _WDT_OFF & _PWRTE_ON & _CP_OFF
ORG 0
; ================ 初期処理 =======================
BSF STATUS,RP0 ;■バンク１に切替え
MOVLW 0F3h ;
MOVWF TRISB ;RB2,3は出力
BCF STATUS,RP0 ;■バンク０に切替え
CLRF PORTB ;PORTBをクリア
; ================ メイン =========================
main
BTFSS PORTA,2 ;スイッチＯＮ？
GOTO main_off ; No
main_on
MOVLW 04h
MOVWF PORTB ;正転
GOTO main
main_off
MOVLW 08h
MOVWF PORTB ;逆転
GOTO main
END
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正転，逆転を入れ替える時、一旦停止すべきですが、動作を確認するだけですので停止は省略し簡略化しています。
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| 正転・逆転，スピード制御
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正転，逆転ができたら次はスピード制御を追加します。
また、スイッチで状態を切り替えられるようにしましょう。
スイッチ操作で下の表のように順次状態を切り替えます。
電源ＯＮ直後は１の状態で、スイッチを押す毎に６まで切り替えその次は１に戻ります。
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| 順番 | RB2
（IN1） | RB3
（IN2） | モータの制御
| | 1 | 0 | 0 | ストップ
| | 2 | 1 | 1 | ブレーキ
| | 3 | 1 | 0 | 正転
| | 4 | 0 | 0 | ストップ
| | 5 | 1 | 1 | ブレーキ
| | 6 | 0 | 1 | 逆転
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また、正転・逆転の時"1"をセットするポートをＰＷＭ制御する事でスピードも可変にします。
ＬＣＤには以下のように状態を表示します。
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A/D=aa PWM=pp +
Max=mm dif=dd
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| aa | ： Ａ／Ｄ変換結果を１６進数で表示
| | pp | ： ＰＷＭのパルス幅を１６進数で表示
| | + | ： モータの状態(+：正転，-：逆転，P：ストップ，B：ブレーキ)
| | mm | ： 電源ＯＮ後の初回のＡ／Ｄ変換結果を１６進数で表示
| | dd | ： 0FFhと上記mmとの差を１６進数で表示
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| プログラム
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概略処理フローを載せておきます。
上の正転・逆転プログラムと比較するとかなり大きくなっています。
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【2009.1.28追記】
Ａ／Ｄ変換処理中（AD_proc3のループ中）は、ＴＭＲ０割込みを禁止しておくのが良いと思います。
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- こちらは実験風景。
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| 感想など
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これでＤＣモータを自由にコントロールできるようになりました。
これを応用すると、バイポーラ型のステッピングモータの制御ができます。
バイポーラ型のステッピングモータが安く手に入ったら応用編としてアップしようと思います。
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