回路図の点線で囲んだ部分が微分回路です。
コンデンサと抵抗だけの単純な回路です。

それでは、この微分回路に矩形波を与えて見ましょう。
緑はＲＡ０（微分回路の入力），黄色はｏｕｔ（微分回路の出力）の波形です。

入力の矩形波の立ち上がりに合わせて微分回路の出力も立ち上がりますが、５Ｖまで行った後一気に０Ｖに戻ります。 また、入力の矩形波の立ち下がりに合わせて微分回路の出力は、一旦−５Ｖまで行った後一気に０Ｖに戻っています。 ０Ｖに戻る時間は、 コンデンサの容量×抵抗値 により変わります。

次は積分回路です。微分回路の抵抗とコンデンサを入れ替えた回路になっています。

この積分回路に矩形波を与えて見ます。
緑はＲＡ０（積分回路の入力），黄色はｏｕｔ（積分回路の出力）の波形です。

入力の矩形波の立ち上がりに合わせて積分回路の出力も立ち上がりますが、やや遅れて立ち上がります。 また、入力の矩形波の立ち下がりに合わせて積分回路の出力も立ち下がりますが、同様にやや遅れて立ち下がっています。

積分回路の抵抗を５ＫΩに変更すると下のようになります。
１ＫΩの場合よりも、遅れが大きくなっています。

積分回路の出力の遅れは、コンデンサの容量×抵抗値により変わります。
今回の簡易Ａ／Ｄ変換は、この遅れ具合を使います。

前書きが長くなりましたが、いよいよ簡易Ａ／Ｄ変換の実験に入ります。

今回の実験回路です。
ＰＩＣの左側が積分回路、右側はＬＣＤを使った表示回路です。

ＲＡ３から矩形波を出力し、左の積分回路を通し、結果をＲＢ０／ＩＮＴ割込みで検出します。
ＬＣＤはＳＤ１６０２を使いましたが、ＳＣ１６０２でもピン配置が異なるだけで使用可能です。

OSC1/OSC2には２０ＭＨｚのレゾネータを接続します。

ブレッドボードに組んだ状態。

積分回路の波形をイメージ的に現したものが以下の図です。特に立ち上がりに注目しています。

図の中に、閾値４Ｖとありますが、ＲＢ０をＩＮＴ割込みで使う場合、シュミットトリガ入力となり４Ｖで割込みが発生します。（立ち上がりで割り込む設定の場合）

		ＲＡ３から出力する矩形波
		ＲＡ３に１をセットしてから、(1)の時間経過後にＩＮＴ割込みが発生します。
		抵抗値を大きくすると、(2)のようにＩＮＴ割込み発生までの時間が長くなります。

ＩＮＴ割込みを有効にし、ＲＡ３に１をセットした直後から「AD_counter」をカウントアップし続けます。
そして、ＩＮＴ割込みが発生したら、カウントアップを中止し、「AD_counter」の内容を１６進数でＬＣＤに表示します。

可変抵抗のつまみを回すと、ＬＣＤに表示される値が変わると思いますがどうでしたか。

正確に電圧を測定すると言った目的でなければ、Ａ／Ｄ変換機能を持たないＰＩＣ１６Ｆ８４Ａでも簡単にＡ／Ｄ変換ができます。

ある程度正確に電圧を測定（0.02V程度）するのであれば、基準電圧ＩＣ，Ｄ／Ａ変換，コンパレータを組み合わせれば可能です。 ですが、わざわざ難しい回路を組むよりも、ＰＩＣ１６Ｆ８４Ａ以外のＰＩＣを使った方がより簡単にできます。

それはさておき、この実験回路とプログラムは後で応用する可能性が大ですので、実際に動きを確認しておいて下さい。 どこで使うかは内緒です。（想像つくかも知れませんが）